(岩手県宮古市で岩手県初となる電気バスが昨年12月26日より運行を開始して、3週間が経とうとしております。そこで、今回は、環境にやさしいと言われ、風光明媚な浄土ヶ浜を走る電気バスについてのご感想を、実際に乗られた乗客の方、ハンドルを握る運転士の方、運行するバス会社所長の方に聞いて歩いてみました。2013年1月16日公開。)

 


(写真:運行から間もなく3週間が経過するJR宮古駅前から発着する浄土ヶ浜行きの電気バス。)

■電気バス乗客の声

阪間美穂さん(神奈川県出身、会社員)、佐藤和江さん(埼玉県出身、会社員)

(写真:快くインタビューに応じてくださった佐藤さんと阪間さん。写真左から。電気バスを乗り終えたJR宮古駅前にて。)

 

●住む人も観光客も増えることを期待

「神奈川県から観光で訪れました。岩手県宮古市には初めて来ました。テレビのニュースで宮古市の状況は伺っておりましたが、なかなか来る機会がありませんでした。宮城県までは思い立ったら伺うことはできますが、岩手県の三陸までは、距離もありますのでなかなか訪れる機会はありませんでした。しかし、今回、1月12日からの3連休で思い切って訪ねてみました。実際に来て見て、海沿いは、津波の爪痕が残り建物の土台部分が残っているところも多く胸が痛みますが、少しずつ新しい建物が増え、復興に向けて歩んでいるように感じました。
先ほど、浄土ヶ浜を訪ねました。景色も美しかったですし、海も綺麗でした。ぜひ、夏に来て泳いでみたいですね。
これからさらに復興が進んで、住む人も観光客も増えることを期待しております。」
(阪間さん)

 

●復興に向かって歩んでいる姿をみんなに広めたい

「埼玉県から観光で訪れました。岩手県宮古市へは4年前に一度訪れました。今回が2度目の訪問になります。テレビのニュースや新聞などで震災の様子を拝見し、心配になり、もう一度訪ねてみたくなりました。4年前は魚市場を訪ね、当時は、周辺に店舗や住宅などたくさんの建物が建っていたのを覚えておりましたが、しかし、今回訪ねてみると、4年前に見た建物はなくなり建物の土台部分だけが残っており、とても胸が痛みました。
それでも、今回訪ねてみて少しずつ新しい建物が増え、復興に向けて歩んでいる姿を実際に見ることができて、来て見てとてもよかったです。
埼玉県へ帰ったら、宮古市が復興に向かって歩んでいる姿をぜひ、みんなに広めたいと思います。そして、また、宮古市を訪ねてみたいです。」(佐藤さん)

 

●走りも快適、デザインもカワイイ電気バス

(写真:かわいらしいコンセントのデザインが女性のハートを掴んだ?電気バス)

「電気バスが走っているのは、知りませんでした。宮古駅から浄土ヶ浜へ向かうバスに乗り、運転席後ろに掲示されているバッテリー残量を示す電光掲示板を見て、初めて電気バスだと気づきました。私たちは、首都圏に住んでおりますが、電気バスは、生まれて初めて乗りました。
電気バスは、音も大変静かで乗り心地も快適ですね。また、なんといっても、バスのデザインがカワイイですね。バスが来た時に、正面に描かれているコンセントの絵がともてかわいかったです。コードが円を描いているデザインがとても素敵です。」(阪間さん、佐藤さん)

■電気バスを運転する岩手県北バス宮古営業所の運転士の方々の声


(写真:運転士からの評判も上々の電気バス。心なしかお気に入りの浄土ヶ浜で鼻高々の様子?)

「電気バス乗務時は、運転中ですのでお客様とお話しすることは少ないのですが、まだ、運行を走り始めたばかりなのか、乗車されても電気バスに気づいていない方も中にはいらっしゃるようです。しかし、これから、日にちが経つにつれて乗った方々が増えてくれば、少しずつ、認知されていくと思います。
それでも、運行開始日から、カメラを持ったバスファンの方々全国から訪れ、沿道で電気バスの走行風景の写真をよく撮影しておられます。また、実際に電気バスに乗車され、私共にいろいろと声をかけて頂いております。中には、運転士の我々よりも電気バスについて詳しい方もおり、大変驚かされます(冷や汗をかいております)。この電気バスが、バスファンの間でもかなり注目されているのを感じます。
電気バスは、実際のところ、一度充電しても、あまり距離数を走ることができませんので、走る路線は限られます。
ですから、これから、さらに改良を重ねて三陸海岸をもっと長い距離走ることができるようになるといいですね。まだ、電気バスは走り始めたばかりですから、これからに期待したいです。
実際のところ、電気バスが走る宮古駅前から奥浄土ヶ浜間は、津波の被害が大きかった鍬ケ崎地区を走り、現在も道路の状態があまり良くありませんので、揺れが少ないと言われる電気バスでもかなり車内に揺れを感じますが、津波被害が少なかった宮古駅前周辺では道路状態も良く、揺れが少なく電気バスならではの揺れの少ない快適な走りを感じることができると思いますので、ぜひその乗り心地の良さを体験してみてください。
みなさんは、電気でモーターを動かす電気バスということで、今ある軽油でエンジンを動かすバスよりも力が弱いように感じられると思いますが、我々運転士の実感としては、電気バスは、意外とスタート時の加速も良いですし、坂道も結構馬力が感じられます。また、従来からあるバスはマニュアル車が多いのですが、この電気バスはオートマチック車なので非常に運転がしやすいですね。
皆さんも三陸復興に向けて風光明媚な浄土ヶ浜を眺めながら走る岩手県初の電気バスにぜひ乗りに来てみてください。」(運転士の方々の声)

 

■電気バスを運行する岩手県北バス宮古営業所 所長 坂下光明さん

(写真:岩手県初の電気バスをぜひ乗りに来て、とおっしゃる岩手県北バス宮古営業所所長坂下光明さん)

「電気バスは、浄土ヶ浜がある陸中海岸国立公園内の環境保護と未来へ向けての電気バスの普及のために、国土交通省「地域交通グリーン化事業」の公募を活用し、岩手県北バスが地元自治体や多くの企業の協力のもと実現させたものです。
電気バス導入にあたり国より補助がありますが、充電池の容量の性質上、頻繁に充電をする必要があるなど維持費がかなり掛かるため、常に満員の状態でお客様を乗せて走らなければ採算が合わないのですが、上記ミッションを達成するためにも赤字覚悟で運行しております。
電気バスが運行を始めて3週間が経とうとしておりますが、利用客は、冬季の観光オフシーズンのため地元の所用での利用客が多いです。それでも、電気バスの運行を聞きつけたカメラを片手にしたバスファンの姿もちらほらみられます。これが、夏季の観光シーズンになりますと、観光客の方が多くなると思います。12月27日に運行を開始して、昨日1月14日まで延べ675名、一日平均約36名の方に利用いただきました。
今後は、できることなら、急速充電器の設置箇所が増えてほしいと思います。そうすれば、今よりも本数を増やしたり、長い距離を走ることができると思います。例えば、浄土ヶ浜にも急速充電器があればさらに電気バスの運行本数を増やすことができますし、電気自動車の普及によって各地に急速充電器の設置箇所が増えると、もっと長い距離を走ることができると思います。
ぜひ岩手県で初めて導入された電気バスを一度宮古市に来て体験してみてください。静かで快適で環境にやさしい電気バスに乗りに来てください。皆様のご乗車をお待ちしております。」

 

■電気バス時刻表

宮古駅前発
10:20、12:10、13:10、15:20
奥浄土ヶ浜発
10:50、12:40、13:40、15:50

 

■関連ホームページ

岩手県北バス

 

※編集後記:今回のインタビューを終えて、宮古市を訪れた阪間さん、佐藤さんから「電気バスがカワイイ」と、思いも寄らないお言葉を伺うとは思いませんでした。さすがに、女性だけあって、男性とは見ている視点が違いますね。いろいろな方と電気バスのお話をしましたが「電気バスがカワイイ」というコメントは初めて頂きました。
現在、三陸では、復興に向けて様々な事業が行われておりますが、こういった女性らしい視点を取り入れていくことも、また、今後、ますます必要となっていくことでしょう。